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10分屋【ARS・N】

第6章 夫婦

「私は…。」

「いやぁ、妻はこう見えてベッドでは積極的でね。僕はこのギャップに惚れているんです。」

ウエダが遮るように口を挟んだ。

「は、はい…。私は二宮さんの大ファンなので、是非お願いしたいと思います…。」

サエコはうつむいたまま、消え入りそうな声で答えた。

ウエダは上着の胸ポケットからハイブランドの長財布を取り出すと、中から帯の巻かれた札束を出した。

裸の札束をテーブルにポンと投げると、俺に指し示した。

「お願いしますよ、二宮さん。」

サエコも、小さく頭を下げた。

「わかったよ。」

俺は二人を応接間の奥のベッドルームに招き入れた。

ベッドサイドのアラームをセットし、言った。

「10分間のセッション、スタートだよ。」

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