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[現代版] 天使と悪魔

第11章 記憶の欠片

・河合side

もしかして宏光の顔を見て心の中にある記憶の破片が

反応してしまったのかもしれない。

連れて来るべきではなかったのか、クッ!

俺は一瞬、後悔する。

でも、喜ばせてやりたかったんだ。

こいつに会えば少しは元気が出るんじゃないかって。

そう思ったから…

帰った方がいいのかもしれない。

そんなことを考えあぐねていた時だった。



北「なぁーに泣いてるんだトッツー」

戸「きっ、北山」



ハッ、あいつ起きたのか。



北「んなに会いたかったの俺に?クスッ」

戸「うっ、うん、グスッ」

北「んだか、なら思いっきり泣いていいぜ」

戸「ふっ、バーカおかしいじゃんそれ、クスッ」

北「別にいいんじゃね嬉し涙なら大歓迎だかんよ」

戸「きっ、北山」



ギュッ!



北「うおっち、久々のハグハグなぁーんちゃって」

戸「大好き ニコッ」

北「今さら?クスッ」

戸「いいんだ好きなもんは好きなんだから」

北「おまえハッシーに似て来たんじゃね?」

戸「なに言われたっていい今はこうしていたい」

北「ふっ、なら好きなだけしていれば」



ありがと宏光、クッ!

嬉しそうに甘えるトッツー



藤「なんかよく分からないけど良かったってこと?」



あぁ、お前は分からなくてもいい クスッ!

連れて来て良かった…

その姿を見て自分の判断が間違いではなかったことに

俺もホッと胸を撫で下ろす

だけど、ふと思ってしまってさ。

この先、2人が記憶を取り戻してもこんなふうに寄り添っていられるのだろうかって。

不安なんだ―

塚ちゃんを殺す夢を何度も繰り返し見続けているトッツーの心は今にも壊れそうで。

これ以上、変なもんを見せられてしまったら。

俺は支えきれるんだろうかと。

だが、それは現実として。

この後トッツーの身に襲いかかって来ることになる。

そしてその時が2人にとっての分岐点であったことに後になって気づく。

前世の俺達は、負けてしまった。

しかし生まれ変わった俺らは負けるわけにはいかない

それは自分自身との戦い、負けは死を意味することを知ったのは。

俺が全てを思い出した時だったんだ。





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