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[現代版] 天使と悪魔

第13章 慟哭の記憶④

・二階堂side

俺は、独り薄暗い森の中。



二「健永、健永おぉー琉生どこだあぁ」



ただ、さ迷い歩いていた。

内くんの部落から、逃げるとき。



二「ねぇ、瑞稀は?」

千「そういえば、あの子」



瑞稀はわったーと薮の帰りを待つため部落の入り口にいた。

そう聞いた俺は―



二「健永、琉生を頼む」

千「ニカ!」

二「ほっとけないだろ」



けど、もう既にそこは。



大倉「何しとるん入り口はアカン早よう逃げな」

藤井「兄貴、こっちや」

大倉「二階堂、早く!」



混乱の中、結局は健永ともはぐれてしまい。



二「無事でいてくれ健永、琉生…クッ」



どこをどう歩いたかなんて覚えていない。

河原の傍で座り込み―

何日もボーッとしていた、俺の耳に聞こえて来たのは



千「ニカ、ニカあぁーいるのなら返事をしてくれ」



ハッ、健永!

目の前にあいつの姿が飛び込んで来てさ。



千「ニカ!」

ニ「健永おぉーっ」



ギュッ―

生きていた…無事に‥うっ…良かった、クッ!

凄く、すっごく嬉しくて。



二「琉生は?」

千「屋良にぃに頼んで来た」

二「もしかして透視でここが分かったわけ」

千「うん」



ありがとう屋良さん。

が、けっきょく瑞稀は見つからなかった事を伝えると



千「無事でいるさ、きっと信じようニカ」

二「そうだね」



それから俺達は、森の中を歩き。

辿り着いた小さな洞穴。

今夜はここで寝よう、そう思い入ってみると。



薮「誰?」

二「薮!?どうして、こんな所に」

薮「二階堂、千賀!」

二「えっ、わったーは?」

千「横尾さん一緒じゃないの」

薮「渉は」



薬草を取りに行ったまま、帰って来ないだって。

見ると薮の腕の中には熱
にうなされた瑞稀の姿が。



二「瑞稀、無事だったんだ」

薮「でも、熱が下がらないんだよ」



どうしよ途方に暮れる中、朝を迎え。

健永が、意を決したように口を開いた。



千「ここを出よう」





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