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[現代版] 天使と悪魔

第14章 慟哭の記憶⑤

・横尾side

俺は、あのとき。

瑞稀の熱を下げる事ができる薬草を探し。

知らず知らずのうち、魔の領域へ足を踏み入れてしまっていた。

しかし―

辿り着いたとき魔物1匹としていなかった事から。



横「まさか、フッ、だとしたらこんなに静かなわけないし」



俺もそこがそうだとは思いもせず。

今にして考えてみれば。

襲って来た化けものがそこにいた連中だったとしたら納得もいく。

が、とにかく急がなければ

そればかりに囚われていて開けた場所まで来たとき。

んっ、滝の音?

ザァーッ、ザァーッと聞こえて来る音と共に。

なんとなく誰かに呼ばれているような気がし。

その音を頼りに、向かった先そこに。



横「あっ、あったあれだ」



これは神の導きかと、この時はそう思ったよ。



横「これで、あの子の熱を下げてやることが出来る」



その薬草を鷲掴みにし後ろを振り返った次の瞬間!

グサッ―



横「うぐ…なっ‥誰…だ‥おまっ‥クッ」



とつぜん何者かに刺され。

自分の前にいるやつの顔を見ると。



横「…とっ‥トッツーなんでだ?クッ」



塚ちゃんのときとは違う。

残念ながら、確実にそれはトッツーの手によるもの。



河「渉うぅーっ」



その手に掴んでいる刀が、そうであることを証明していた。



河「なんでこんな所にいるんだよ」



とたん郁人の声が聞こえ。



戸「うっ、わあぁー」



トッツーの傍へ駆け寄り。

その手を掴んで俺の身体に突き刺さっている刀ごと、引き抜いてよ。



横「つあっ、ぐはっ」

河「早くここから逃げてくれ頼む」



に…げる‥クッ!



戸「郁祥(ふみか)俺の郁祥を返せえぇー」



なっ…なんの‥こと…だ?



河「トッツー落ち着けトッツーっ」

横「郁…人‥ハァハァハァ」

河「渉、早くしろ」

横「くっ」

戸「郁祥、郁祥あぁ」



暴れるトッツーを、必死で押さえ込んでいる郁人の姿を見て。

そのただならぬ様子に俺は叫ぶ。



横「なにが…あったんだ‥郁人」





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