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[現代版] 天使と悪魔

第14章 慟哭の記憶⑤

・五関side

横「そっか、じゃあ」

五「あぁ、多分みんな」

横「生きてはいないと」

五「見届けてやる事もできずゴメン、くっ」

横「謝るな、俺だって似たようなものなんだから」

五「薮や瑞稀の行方は?」

横「まだ分からない」

五「トッツーと郁人も?」



コクンと小さく頷く横尾。

俺はこのとき横尾にあまり詳しく話すことが出来なかった。

実際その最期を見たわけではなかったし。

ただ部落が襲われ内の所へ逃げ込み。

そこでまた襲って来た奴らに塚ちゃんと宮田がやられてしまい。



横「あの2人なら俺と宏太で埋めてやったよ」

五「ありがと、クッ」



それから逃げ込んだ場所で再び襲われ。

子供たちを連れ江田ちゃん達とここへ避難したとだけ話し。

横尾もまた―

旅行から帰って来て、その現状を目の当たりにして。

俺達を捜し回っているうち塚ちゃんと宮田が倒れているのを見つけ。

ただならぬ様子に驚きながらも迷走した結果。

薮と、瑞稀の2人とは離ればなれになってしまったと

それだけしか言わず。

この数日間、自分がどうしていたかは。

事故に遭い意識をなくしていた為。

見つけ出されるまで分からない、そう言い。

何故だか言葉を濁す横尾を見て言いたくない事もあるだろうと。

俺も突っ込むことはせず。

それ以降、俺達はこのことに一切触れなくなったんだ

今は未来を担うこの子たちを育てて行くことが。

命を落としてしまった仲間たちにできる最大の供養だと思い。

過去は断ち切ろうと、心に決め。

そしてあの日がやって来る

俺と横尾がこの世界に別れを告げるときが…

まるで、まだ絆が繋がっていたことを示すかのように

突然あの子が、俺達の前に姿を現したんだ。

トッツーと河合との子
郁祥が―





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