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[現代版] 天使と悪魔

第22章 慟哭の記憶⑥

・横尾side

屋「確かハッシー塚ちゃん五関・千賀・玉森・宮田のときも」



トッツーの声が聞こえたんだよな。



内「あいつもしかして必死で仲間を護ろうとしていたんやないか」



かもしれない。

トッツーはトッツーで戦っていたんだろう、あの妖魔って奴と。

それから―



藤「俺達は意味も分からず歩き続けた」



飛ばなかったのは…



内「上空に魔物がいたからそやな」

藤「はっきりと、姿を見たわけじゃないが気配を感じそれに」



と、太輔の視線がチラッと安井のほうを見る。



安井「パパ?」



ハッ、祐惺が何かを察知したってわけか。

まだ幼かったとはいえ。

当時の祐惺は、他の子よりずば抜けて成長が早く。

ミツですら驚くくらい勘の鋭い子だった。

その祐惺が―



藤「ここは危ない、ずっと言い続けてて」



何がどう危険なのか分からないまま。

東へ東へと歩いて行くしかなく。

だが臨月のミツにはかなりキツかったのだろう。



北「もっ、無理だってば」

藤「ひろ」



珍しく弱音を吐いたらしい

仕方なく太輔は野宿できる場所を探し。

同じ日―

裕太・宮田・五関に健永・ハッシー塚ちゃんは、内の部落へ。

江田ちゃんと亮太、それに屋良さんは山中をさ迷っていた。

初めは同じ場所にいたはずなのにバラバラにされたのも。

妖魔の魔力によるものなのか今の俺らには分からないが…



藤「翌日ふたたび歩き始めた俺達は、すぐさま周囲の異変に気づき」



そこで何があったっていうんだ?



藤「あちらこちらに潜んでいる不気味な気配を感じ」

五「取り囲まれていたってこと?」

藤「けど襲って来ようとはしないんだ」



それじゃあ、かえって恐怖が募ってくだけじゃ。

まさか、それが目的だった



玉「精神的に、追いつめられて行ったってわけ」

藤「今、思うとそうだったのかもしれないな」



真っ先にやられたのが祐惺

繊細な幼子には、耐えられなかったのだろう

日に日に発する言葉がおかしくなって行ったという。

そして―



藤「頃合いを見計らったかの如く四方八方から一斉に襲い掛かって来てよ」



祐惺が、そうなるのを待っていたかのように。





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