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[現代版] 天使と悪魔

第22章 慟哭の記憶⑥

・北山side

内「大倉、この子を連れて行け」

大倉「えっ」

内「ハッシーが作った秘密基地に流星や江田、他の子たちもおる」

大倉「でも」

内「行くんや」

大倉「内」

内「そして必ず生きて護りぬけ、そうする事がお前の役目」

大倉「内はどないするん」

内「俺は北山の傍におる」

大倉「なら」

内「アカンそしたらこの子はどうなるんや」

大倉「くっ」

内「俺がお前の分まで傍にいるよって早よう行け」



うっ…内‥ハァハァ



大倉「分かった、この子も祐惺も俺が護る心配せんでもええ宏光」



…あり‥がと…クッ



北「うあっ」

内「北山」



が、とたん心臓が鷲掴みにされたかの如く締めつけられ。

声にならない叫び声を上げる。



北「ぐ…あぁ‥」



太輔、太輔、そこに行けばお前に会えるのか。

必死で手を伸ばすと、それを包み込む温かなぬくもり



北「…た‥い…ハァハァ」

内「そや俺とおまえ藤ヶ谷の3人はいつも一緒、もう苦しまなくてもえぇ、楽になり ニコッ」

北「ふっ」



自然と笑みがこぼれ、その優しい眼差しの中。



内「北山、北山あぁーっ」



静かに俺は眼を閉じた。



内「俺もすぐ逝くよって、待っててや絶対に独りにはさせへん」



だが俺が行った場所は親父がいる天界で。

それから何百年もの間ずっと想い続けていたっけ。

もう一度、太輔に会いたい

会って、あの腕の中に抱きしめられたいと。



藤「ギュッ、俺も同じ気持ちさお前に会う為に生まれて来たんだから」

北「太…輔」



話を終えた俺に満面の笑顔を向けそう言う太輔。

この顔だ何よりも大好きな

思ったとき何かが自分の中で吹っ切れた音がする。

過去はどうであれ今が大事なんだと太輔が教えてくれている気がし。

素直に言えるかもしれない自分の気持ち…

寄り添うように、その胸の中へ身を預け想いのままに甘えた。

優しく見つめる仲間たちの視線に、心地良さを感じながら。

もう迷わないでこの想いを貫き通すと心に決め。

それが答えだ妖魔。

だがよく聞け、太輔には指一歩たりとも手出しはさせない。

そのとき俺の耳には薄気味悪く笑う奴の声が聞こえたような気がする。

戦いは、まだ幕を開けたばかりだと言わんばかりに。

あざ笑うかの如く―





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