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・五関side

戸「ママン」

沙耶「貴方を愛していたわ出来ることなら追いかけ」



奪い返したかった。

そう言い、沙耶は肩を震わせ泣いた。



沙耶「でも私は､ﾋｸｯ」



定められた範囲から、出ることが出来ない身。



沙耶「このときほど、自分の運命を恨んだ事はありません」



それから、トッツーがどう生き暮らしていたのか全く分からないまま。

月日は流れ―



屋「なにがあったんです」

沙耶「思うにこの子には」



その時の記憶はないだろうから。

そう沙耶は言う。



河「その通りさ」

戸「河合」

沙耶「やはり」



トッツーの中で妖魔の声が聞こえ魔の領域へと向かい

久々の親子対面―



沙耶「そのとき私には分かったの、もうあの人はいないと」



妖魔に喰われ。



沙耶「憑依された者は最後にその脳と心臓を食べられてしまう」



だから、彼は転生できなかった。

屍は朽ち果て…

どこかの山奥にでも、捨てられたのだろう事は俺達にも想像が出来た。

酷いことしやがる。



沙耶「虚ろな眼をしていたわ胸が締め付けられるほどの」



沙耶…

思わず抱きしめずにはいられなかった彼女は。



沙耶「祥太、ギュッ」



しかしトッツーは無表情で何も言わず。

“ときは来たれり汚れなき乙女は男を知り子を成した幻獣たちよもはやお主らの化身は天の使いにあらず”

どこからか聞こえて来た声

“なれど新しき使いは聖なる泉にいるぞ”

“その姿を、とくと見るがよい”

待て、どういうことだ。

そこまで話すと沙耶の顔が苦痛に歪み。



沙耶「晃一、私は…貴方には相応しくない‥この身は汚され…ｸｯ」



沙耶が記憶を取り戻し始めたのは。

あの日―

トッツーと郁人の２人と、遭遇した後からだったらしい。

徐々に少しずつ…





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