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[現代版] 天使と悪魔

第28章 幻獣の少女②

・五関side

もしかしたら、あの天使は豹変した時点で既に



五「憑依なんてしていないと俺は睨んだんだが」

沙耶「で、でも現に」

五「なぁ沙耶、お前は自分がどうしてあの世界に生まれて来たんだと思う?」

沙耶「えっ」



どんな生き物にも生を受けた意味がある。



五「俺達は、前世でそれを知った」



北山がなぜ愛の天使として生まれて来たのか。

それと同じに…



五「沙耶、お前にも理由がある気がするんだ」

沙耶「晃一」



きっと―

こうして今の世で俺たちと繋がったのも。



五「幻獣たちは」



お前を護る為に、存在していたんじゃないのかな?



沙耶「分からない」

五「だってそうだろ?でなければ処女を失った時点で魔物化していたっておかしくはなかったはず」

沙耶「‥‥っ」

五「言い伝え通りならば、だがならなかったのは」



その時のお前が、幸せそうだったから。

が、それとは違い。



五「奴に、仲間はいなかった」



いや、いるわけがない元は欲望と憎悪の塊なんだから



五「だから逆にそれを注入することで自分の思うように操っていたんだ」



見せた幻想も…

心の中の不安を増長させることで作った幻。

実際―

長い年月で力をつけていたからこその能力でもあったんだろうが。

そこにトッツーという存在がいてこそ発揮できたものと解釈すれば納得も行く。



沙耶「晃一」

五「んっ?」

沙耶「じゃ祥太の中に妖魔は」

五「いないと信じたい居たとしても一部分、本体は」



別の場所に。

それぞれが考え辿り着いた答えが。

果たして、正解だったのか不正解だったのか。

それが分かるのは…



五「少し休もうか?」

沙耶「うん」



決着をつける為に、そいつと対峙した時だろう。

そう俺はこのとき予感していた。

それは、すぐ近くに迫っていることを。





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