テキストサイズ

[現代版] 天使と悪魔

第4章 過去からの声

・横尾side

宮田の家へ泊まった数日後

俺は、また屋良さんのマンションへ来ていた。



屋「そっか、あいつが」

横「屋良さん、ひとつ聞いてもいいですか」

屋「なんだ?」

横「屋良さんは、どこまで思い出しているんです?」

屋「俺か?最期を思い出す前の宮田と同じ平和だった頃までさ」

横「じゃ、あの後どうなったかは分からないってことですよね?」

屋「まぁーな、フッ」

横「知りたいと思ったりします?」

屋「あえてそうしなくても必要なら思い出す事になるんじゃないか」

横「それまで待つと」

屋「なぁー横尾、今はまだそんなに急くことはないと思うんだよ」

横「どうしてです?」

屋「ものには順序や、タイミングってものかある」

横「それに従えと?」

屋「この不思議な現象が、何か意味があっての事なんだとしたら」

横「手遅れって事にはならないんですかね」

屋「何もずっと待っていろと言っているわけではない様子を見て状況に応じ動かなければならない時もあるだろう」

横「そりゃ」



屋良さんは言う。

全部を思い出したとき襲ってくるのは間違いなく。

みな悲しく辛い過去という結末だろうと。

少なくとも俺達は、そうである事を知っている。

なのに傷つくと分かっていながら追い込んでどうするんだ?

確かに…



屋「お前は少なくとも他の奴らの死に直面してはいない塚ちゃんと宮田のときは既に」

横「えぇ目の前で誰かが、そういった経験は」

屋「だが、あいつらは違う俺もそうかもしれないし」



残された者の悲しみ。

目の前で大切な者を失ってしまった辛さ。

殆どの連中が、そういったことを経験しているはずと





ストーリーメニュー

TOPTOPへ