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[現代版] 天使と悪魔

第4章 過去からの声

・戸塚side

河合と一緒に出かけたあの日から。

俺は何故だか妙な夢を見るようになる。

“助けて、お願い誰か”

真っ暗闇の中、ただ声だけが聞こえ。



戸「だれ?誰なの」



呼び掛けても返事は返って来ない。

一体どうして、こんな夢を見るのだろう?

“嫌やめてくれそんな子、産みたくない”

産む?子供を…



戸「ねぇどう思う?」

河「んー俺には、そういうのよく分からないんだけど夢って予知夢とか言うくらいだから何か意味があるのかもな」

戸「俺もそんな気がする、だって何度も同じ夢を見るってだけでも普通じゃないし」



あまりにもそれが続くものだから河合に相談してみたんだ。



河「その聞こえて来る声って男それとも女」

戸「たぶん声の質からして男だと思う、でも男が子供を産むだなんてあり得ないじゃん」

河「確かにな」



だからって何か分かるわけでもなく。



河「まっ、なんか変わった事があったら教えてよ」



そりゃそうだよな夢なんだから、フッ!



戸「うん、分かった」



だけど、その夜もまた。

“助けて、ここから出して誰かぁ”

そんな、ある日のこと。

仕事の合間、ひとりで廊下を歩いていたら。

誰かに見られているような妙な視線を感じ、ふと足を止めると。

その先には―



男「ニヤッ」



なんだか怪しく笑う不気味な男が立っていてさ。

あいつ関係者じゃないみたいだけど、なんで中へ入れたんだろう。

そう思っていると…

“知りたいかその意味を”

えっ、今のはなに!?

とたん自分の脳の中に響き渡った声。

“なにをビックリしている以前もこうしてよく話しをしていたではないか”

前にも?

あげく、いつの間にか気づくとそいつは俺のすぐ目の前に立っていて。

“忘れているならば、思い出させてやろう”

見つめる瞳が、妖しく光りを放つ。

なっ!?

“お前が前世で、何をしたのかを”

前世?

“さぁ今度こそ役目を果たすのだ二度と放棄する事は許さん”

役目、放棄?なんのことを言っているんだ?

“まずは自分が、どうやって生まれて来たのかをタップリと教え込んでやる”

うっわあぁーっ

その瞬間、眩しいくらいの光りに包まれたかと思うと

“トッツー、トッツー”

それからの記憶がない。





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