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[現代版] 天使と悪魔

第4章 過去からの声

・戸塚side

ただ俺を呼ぶ声で目を開けたら、そこに。



河「なにボーッとしてたの何かあった」



心配そうに覗き込んでいる慣れ親しんだ顔があり。



戸「河合」

河「んっ?」

戸「傍に…いて‥」

河「えっ」

戸「お願い」



ギュッと咄嗟に抱きついた俺に驚きつつも。



河「どうしたって言うんだトッツー」



不安なんだ怖くて堪らない

何だか嫌な予感がし自分が自分でなくなるような。

そのまま黙って何も聞かず腕の中へ包み込んでくれる

キュンと途端に心が反応し

なんだろ?この気持ち凄く安まる。

前にもこうやって抱きしめて貰ったような。

見上げると、そこには優しい笑みを浮かべ俺を見つめる河合の瞳があってさ。



戸「…うん‥ごめん急に」

河「いいって、フッ」

戸「ドキン」



なっ、なにドキドキしているんだよ俺?



河「みんな待ってる行こ」



“手始めは、こんなものでいいだろ”

えっ?

―妖魔、妖かしの術を使う魔物。

その力は魔王にも匹敵すると言われている、いや…

それ以上かも知れない。

何故なら奴には弱点というものが無かったから。

その能力は計り知れず。

この日を境に俺はまた前世のときのように。

あいつの術で、様々な幻影を見せらていく事となる。

だけど―

ちゃんと、記憶を取り戻せていなかったせいか。

それが都合よく塗り替えられてしまっていたものだとは気づきもせず。



戸「おっ…俺が‥殺した…俺が」

河「トッツーしっかりしろ」

戸「うっわあぁーっ」



押し寄せる罪の重さとその慟哭に翻弄され。



河「俺がついている、なっ傍にいるから」



迷宮の中―

まるて流されてくかの如くさ迷い歩いてく事となるんだ。



戸「河合、河合」



でもそんな俺をいつも傍にいて支えてくれたのは河合だった。



河「トッツー、負けるな」



負けないよ河合が傍にいてくれるから。

もう逃げたりなんかしない

苦しみ悩んだすえに出した答え。

俺には、みんながいる。

その気持ちに答える為にも決して同じことを繰り返したりはしないと。

今度こそ奴の魔力から抜け出してみせるから。

それは過去から現代へ―

時空を超えた壮絶な戦いへの幕開けだった。

生まれ落ちた自分の運命との。





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