テキストサイズ

[現代版] 天使と悪魔

第7章 慟哭の記憶②

・玉森side

そこへ辿り着いて数日後。

隠れ部落は、沢山の天使と悪魔で溢れかえっていた。



玉「凄いなぁ、これみんな内くんの所の部落にいたの満員じゃん」

橋「他からも来ているみたいだよ」

玉「えっ、どうして身内しか場所を知らないんじゃ」

内「それがな」

玉「内くん」



ミツを捜しに行った連中が



内「恐怖に怯え、さ迷っている姿を見たら放っておけなかったんやろ」



どうやら狙われたのは俺達の部落だけじゃなく。

ダークの村や、他の部落もだったらしく。

居場所を失った者達が次から次へ押し寄せ。

まるで避難所みたいになっていたんだ。



内「だが肝心の北山が見つからず、あいつ大丈夫やろか」

五「たぶん藤ヶ谷が一緒にいるはずだし」

玉「でもあの身体だよ無理してなければいいんだけど」



もう既に臨月―

何処にいるの?早く無事な姿を見せてよ。

気が気じゃない心境でいたら…



内「玉森、気しっかり持って聞きや」

玉「なに?」

内「宮田と塚ちゃんがな」

玉「うっ、嘘!?」



あのとき予感していなかったわけじゃない。

俺は何となく分かっていた

優しい宮田は、塚ちゃんを独りで行かせることなんて出来なかったんだって事を



玉「俊哉、うわぁーっ」



だから、あいつは死ぬ覚悟で。

けど戻って来るって言ったから。

俺はその言葉を信じていたかったのに!クッ



子「ママン?」

玉「パパが…」

子「パパ、どちたの」

玉「くっ、うぅ、ヒクッ」



まだ幼い子に、死の意味が分かるわけもなく。



玉「パパはね…勇敢だったよ‥とても…それだけは‥覚えてて…ね ヒック」

子「うん」



俺は、そう言うのがやっとでさ。



橋「くっ、塚…ちゃん」

琉生「ママン、泣かないでママンが泣くと琉生、悲ちい、ヒクッ」

橋「ご…めん‥ね…琉生」

琉生「マ…マン‥ヒック」



ハッシー

琉生を抱きしめ泣いている姿に俺の心も益々悲しみに沈む。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ