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(旧)短編☆中編小説集

第1章 少年メイド

“もう一緒に遊べなくなっちゃった”

“どこかへ行ってしまうのか”

“引っ越すんだって”

“きっとまた会える”

“ほんと”

“あぁ必ず迎えに行くからそしたら一緒に暮らそ”

“お兄ちゃんと”

“嫌?”

“ううんいいよ僕、太輔のこと大好きだから”

“ありがと”

毎日、母さんに暴力を振るっていた父さん。

怖くて逃げた先にはいつも



北「おっ…お兄‥ちゃん」

藤「約束通り迎えに行ってやっただろ」

北「太輔…あぁ‥」

藤「そうだよ」

北「たい…」



パンパンパン―



北「ひああっ、イク、あぁ太輔、お兄ちゃーん」

藤「ひろ…くっ‥」

北「ああぁ、ビクビクッ」



そう…だったんだ。



北「バカ、なんで言わないんだよ」

藤「忘れてたくせに」

北「当たり前じゃん、いくつの時だと思ってるんだ、ヒクッ ううっ」

藤「泣くな、男はメソメソするんじゃない」

北「太輔えぇーっ」



ギュッ!



藤「変わってないな」

北「ううっ、グスン」



そっちだって同じゃん。

ハッ、ちょと待って!おかしい。

あのとき太輔は。



藤「俺は、今も昔も変態だ4歳のガキに惚れてしまったあの日から」

北「お前、いくつ」

藤「ニコッ」



初めて知ったこいつの秘密



藤「嫌か?こんな俺と一緒に暮らすのは」

北「ううん…太輔のこと‥その…たぶん俺も」



けど、今なら分かる。

何故、こんな事をされても嫌いにならなかったのか。



藤「どうしてたぶんが付くんだ?クスッ」

北「分からない」

藤「はあっ?ここまで来てそれはないじゃん」



それは俺もこいつと同じであの日から好きだったから

“大好き太輔”



藤「返事をしろ」

北「クスクスッ」

藤「笑ってないでさ」



ギュッ、だから俺は言ったんだ。



北「もう一回しない」

藤「‥‥っ」



もう、独りぼっちにはさせないと心に誓いを立て。



藤「愛してる、ひろ」

北「んんっ」



太輔が、幼い俺にそうしてくれたみたいに今度は自分が。

ずっと死ぬまで、傍にいるから。



北「うあっ、いっ、太輔、ああぁ」



もうすぐ11歳を迎えようとしていたその日。



藤「ひろ、俺のひろ」



俺は限りなく深い愛を知る永遠という名の元で―




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