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(旧)短編☆中編小説集

第13章 あいつと俺

それから数日が経ったある日。

相変わらず北山は俺からのメールを無視し。

携帯に掛けても出ようとはせず。

くっそ、まだ分かってないんだ。

だったら今度はもっと刺激的なことをして懲らしめてやる。

そう次の策を練っていた、そのとき。

“着信:横尾渉”



藤「もしもし」

横「太輔、今なにをしてる」



とつぜん、携帯へ掛かって来たわたからの電話。



藤「特に何も、それがどうかした」



そこでイキなり宣告される



横「いやただお前には言っておかなければと思ってさ」

藤「んっ?」

横「ミツと付き合うことにした」

藤「はっ?」



何を言ってるんだよ。



藤「それってどういう」

横「分かるだろ、それくらい説明しなくても」

藤「まさか恋人として」

横「あいつ2・3日前から様子が変でさ気にはなっていたんだが」



わたの話ではこうだ、昨日あいつを飲みに誘ったら。



北「もっ、どうしていいのか分からない」

横「俺は何をしたらいい?遠慮せず言ってみ力になるし」

北「なら」



嘘だ―



横「もちろん親友として、祝福してくれるよな」

藤「わた」

横「大切にする、次にメンバーと会ったときにはニカや健永みたいにみんなにも話すつもりだ」

藤「‥‥っ」

横「太輔もそのつもりでいてくれ、じゃ」

藤「ちょ、わた」



プツン、ツーツーツー

どうして俺のこと好きだって言ったじゃん。

なのに、クッ

―が、すぐには現実を受け入れられないでいると。

追い打ちを掛けるかのように今度は北山からメールが来てさ。



“悪い俺もう疲れちまった元の俺らの関係に戻ろう、その方がいい。なっ藤ヶ谷じゃなきゃ壊れちまう気がして、だからよ”



冗談じゃない、俺は絶対に嫌だからな。

やっと、やっと想いが叶ったっていうのに。

今更ここへきて元に戻れっていうのか?

なぁ北山、クッ

お前の肌、温もり俺の手によって感じ喘ぐその声。

忘れられるわけがないじゃん、ふざけんじゃねって。



弟「兄貴、ちょ聞いてくれまたあいつったら」

藤「いい加減自分のことは自分でなんとかしろよ俺は今それどころじゃねんだ」

弟「兄っ」



失いたくない。

誰にも渡したくはないと、思ったから俺は。

そして、とうとうその日は来てしまう。





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