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(旧)短編☆中編小説集

第15章 秘め事~Himegoto

・藤ヶ谷side

“お願い、この子を太輔”



北「なぁ見て見て」

藤「んっ?」

北「どうこのタイピン郁人がくれたんだ友情の証しにって ニコッ」

藤「友情ねぇ」

北「二人してお揃いの赤、俺のラッキーカラーだ」

藤「ふっ」



なんにも気づかずに、こいつは。



北「やっぱ、あいつは最高のダチだわ」



幸せなやつ、クスッ



藤「風呂に入って来い」

北「おう」



河合郁人か用心しないとな

あの眼、確実に宏光に惚れてやがる。

だが悪いが渡しはしない。

こいつは俺にとって特別な存在なんだ。

絶対―



藤「ちゃんと髪の毛、乾かしてから寝ろ」

北「分かってるって、もう子供じゃねんだ」

藤「ほぉー入学式を終えた途端に、大人にでもなったつもりか」

北「うっせぇーや、悪いかよ」

藤「いや、クスクスッ」

北「ちっ」



早くなってくれ。

どんなにか待ちわびた事だろう、あの日からずっと。

“いりませんよこんな子”

“何処かの施設にでも預けてしまえ”



俺は、いつも独りぼっちだった。

“貴方が太輔くん?”

だからあの人がくれた小さな命と温もりに、どれだけ救われたかしれない。

“ちょっと待て無理だ”


最初は反対したわたも俺の決心が固いことを知り協力してくれ。

今、こうして共にいる。

でなければ生きては来れなかったと思うしホント感謝してるぜ。





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