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(旧)短編☆中編小説集

第15章 秘め事~Himegoto

俺が頭の中で想像しているのは太輔の笑顔とか囁く声それに―



藤「そろそろ出ようか」

北「‥‥っ」

藤「あまり長く入っていると逆上せてしまう」

北「…あっ‥あぁ」



ジャバーン!

それから太輔は夕飯を食っている時も。

テレビを見ている時も殆んど口をきかず。



仲居「失礼いたしますお布団を敷かせて頂きます」



仲居が部屋を出て行った後

黙って電気を消しサッさと布団の中へ潜り込んでしまう。

マジ?

それが、何を意味しているかなんて。

14になったばかりの自分には分からなかったが。

俺にどうしろと?

いつもと違う空気だけは、感じ取っていたんだ。

しかたなく―



北「ちぇっ、たく意味分かんね、おやすみ」



俺も、ブツブツと独り言を呟き横になり。

数分後―

背中越しに時計の秒針の音だけが耳に響いて来る中。

太…輔?

いつもなら、俺のところへ潜って来るのに。

どうして今日は。

チッチッチッ―

何故だか全く動こうとしない自分の父親にふと。



北「…くっ」



寂しさが、怒濤の如く押し寄せ堪らなくなり

ギュッ!

気がつけば自分から、その背中へ抱きついてしまっていたんだ。



藤「どうした?」



それが禁断の扉を開ける事になろうとは思いもせず。





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