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(旧)短編☆中編小説集

第15章 秘め事~Himegoto

「太輔とは、なんの」

「それ以上、言ったらさすがの俺も怒りますよ」

「私は本気です家裁で戦ってでも自分の子を取り戻すつもりでいますから」



捨てたのはあんたの方だろ



「その償いはこれからして行くつもりです恨まれても憎まれたとしても」



今度こそ手離しはしないと



横「どうする太輔」

藤「宏光は、絶対に渡さない」

横「だが言葉で通じるような相手じゃないよ」



どうやら―

向こうには腕っぷしのいい弁護士がついているみたいだからさ。



藤「それでも」



話すか、ミツに?そう言ったら。

もう少し考える時間をくれ

太輔は苦渋の表情を浮かべ言葉を返した。

分かっている…

今更どう説明しても、本当のことを知ったらミツが。

傷つくのは眼に見えているってことを。



「なぁ、頼むよ!わた」



だから、今まで隠し通して来たんだもんな。

だがもう…



「で、入院はいつまで」

「1週間いや2週間」

「はあっ?」



時間稼ぎするのはかえって

偽装入院をしたのはマスコミの目をくらますのが目的だったが。

それとは別に―



横「来たぞ太輔」

藤「‥‥‥」



ガチャ!

ミツの気持ちを不安にさせない為にも。



「失礼します」



あいつの目の届かない場所で、話し合いを持つ必要があったからだった。

しかし―

逆にそれが追い詰める結果になってしまうとは。

この時の俺は…

いや、太輔でさえも予想だにしていなかったんだ。

暗雲の中ー





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