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(旧)短編☆中編小説集

第15章 秘め事~Himegoto

・北山side

自分の気持ちが分からない



「うっお見てニカすっげぇ魚」

「捕まえて食おうぜ千賀」



何やってるんだ?あの2人

俺はなんにショックを受けているんだろう。

太輔と血の繋がりがなかった事か?



「よっしゃあ」



それともずっと何も知らずに暮らして来たこと?

違う、じゃいったい?



「おい、そこのお前お前だよ」



んっ?



「腹減ってるんなら一緒に食う」

「美味いぞ」



へっ?



「俺、二階堂高嗣」

「千賀健永、宜しく」



それから―



北「家出」

千「まぁーな」

二「俺と千賀は愛し合ってる」

北「愛ってお前らいくつ」

千「小5だけど何か」



げっ、マセてるなぁ…



二「でも親が許さなくてよ引き離そうとするから」

千「2人して逃げて来たってわけ」

北「はあっ?」



こりゃ驚いた太輔より上手じゃん、太…輔‥



千「どうかした」

北「いや」

二「お前も何か訳ありみたいだな」

北「別に」

千「なにがあったかは知らないけど素直が一番」

北「素直ね」

二「好きなら好き、一緒にいたいならいたい」

千「嫌なら嫌、そんな難しい事じゃないだろ」



だが、それができないから大人は。



二「ここだぜ」



嘘ついたりするんじゃね、たぶん太輔も。



千「俺達の秘密の隠れ家」

北「空き家」

二「前は俺んちだったんだけど今は」

千「ここなら誰も来ないし安心して眠れる」



その夜、俺は夢を見た。



「お父さん、お母さーん」



幼い太輔が暗闇で泣いてる夢を。



北「太輔、ガバッ」



“寂しかったずっと、でもお前が傍にいてくれるようになってからは”



「俺が育てます」



それは、小さかった自分の頭の中に眠っていた記憶の破片だったのかもしれない



「宏光、お前は俺の生きる希望の光り」



太輔…



「だから早く大きくなれ、たくさん愛してやるから」



“俺の大切な天使”



北「太輔えぇーっ」



人は何故、誰かを求めないと生きては行けないのか?

孤独になる事を恐れ、でもそれでも俺は。

翌朝、なぜだかあの二人はいなく。

歩いて行かなきゃならねんだわ。

そう決心をし太陽を見つめていた。

明日が来ることを信じ―





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