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(旧)短編☆中編小説集

第16章 心と身体の行方

目を覚ましたとき俺は素っ裸のまま。

この男の腕の中に抱かれていたんだ。

静かに寝息を立てている。

本当にしてしまったんだ、男と。

それも名前も知らない行きずりの。

あり得ない、ハァ!

でも、今までした中で一番気持ち…

ブンブンブン―

首を思いっきり横に振り、否定する。

忘れるんだ。

急いでシャワーを浴び服を着て外へと出た。

でなければ―

俺は普通の男、ゲイなんかじゃないし。



「北山、おはよ」

「あれ朝帰りか昨日と同じ服装じゃん」

「あっ、お前あれから飲んだくれて路上でお泊まりしてしまったんだろ」



某大学に通う…



「よぽどショックだったんだな」



それから1週間、心の中で葛藤し続け。

だが―

あいつとはもう、会うこともない。

だから大丈夫だとそう思っていた。



「なぁ、今日ひま?」

「合コンあるんだけど行かない?」

「失恋の傷を癒すには新しい恋が一番だろ」



傷?そういえば。

不思議だけどあれだけショックを受けていたのに今は



北「んだな、いいぜ」



なんとも思っていない何故



「場所は新宿の…」



その言葉に、ドキッと心が反応する。

あはっ、会うわけないって

向こうだって、ナンパして上手くできた相手。

としか思っていないだろうし。

なのに何度も何回も、あの時のことを思い出しては。

その都度、勃ち上がるモノ

堪らなくなって扱き、射精して。

自己嫌悪に陥っている自分がいた。

その感情が、どこから来ているのかさえ気づかず。





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