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(旧)短編☆中編小説集

第16章 心と身体の行方

・藤ヶ谷side

藤「はぁ」

横「何度目?溜め息」

藤「あっ、ごめん」



あの日―

目を覚ましたら、あいつはもういなかった。



横「どうして手を出したりしたの?」

藤「わた」

横「分かっていたはずだろノンケは俺たちとは違うって」

藤「あぁ、でも」

横「放ってはおけなかった沈んでるそいつを見て」



北山宏光―

俺の初恋の相手、とはいっても完全なる自分の片想い

あれは中学に上がったばかりの頃…



「ほら出せよ金、持ってるんだろ?」

「こいつさ、代議士の息子なんだぜ」

「税金泥棒か」

「俺達が支払った金でいい暮らしをしているんだくれるのは当然じゃん」

「あははっ」



いわゆるイジメってやつ。



「おまえ達が払ってるだって?クスッ」

「なっ、なんだお前」

「こいつ3年の」

「親に養って貰ってる奴がなに偉そうなことを言ってるんだか、フッ」

「おっ、お前だって」

「あぁーだから俺は、お前らみたいなことはしない」

「‥‥っ」

「サッカーボール追っ掛け校庭を走ってみろ、気持ちいいぜ」

「なっ」

「金ってのはさ自分で得てこそ意味があるもんだろ」

「それとサッカーと、どう関係しているんだ?」

「俺は、Jリーグの選手になる」

「はっ?」

「お前らもちまちまとカツあげなんかやってないで、デカイ夢に向かって走ってみれば」

「ぁ…‥」

「楽しいぞ ニコッ」



ドキッ!

その笑顔にやられ、校庭の片隅で見続けた1年間。

まさか再会するだなんて。

当時の俺は、肌が真っ黒で髪は天然パーマ。

まるで黒人みたいだった、クラスでも目立たない存在

まして学年が違った北山が覚えているわけがない。

案の定―



北「嘘つけ、お前モテるだろ?フッ」

藤「そっちこそ」

北「俺は、全然ダメだわ」



全く気づいていなかったし





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