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(旧)短編☆中編小説集

第16章 心と身体の行方

藤「調子いいな、お前」

北「そんなんじゃねっつうか、どうしているんで?」

藤「いちゃ悪い?ここ居酒屋だろ出入りは自由なはずだぜ、クスッ」

北「くっ」



やな笑い。



藤「それより店、抜けださない」

北「はっ?」

藤「いい所へ連れて行ってやるから」

北「おまっ、なに言ってるの?」

藤「ナンパしてるんだけど」

北「バッカじゃね俺はもう」



グイッ!



北「ちょ、放せ」

藤「あんまり騒ぐと、男に拉致られそうになっているのがダチに気づかれてしまうけどいいのかな?ニヤッ」

北「なっ」



なんなんで、いったい?



北「勝手にしろ」

藤「お言葉に甘えて」



それから外へと連れ出され



ニ「いらっしゃーい、あら」

千「珍しいわねぇ、一緒にいるの渉ちゃんじゃないなんて」



うわっ、バリバリのおネエじゃん。



ニ「高子でーす」

千「健子でーす」

ニ千「ふたり合わせて高健でーす宜しく」



げげっ…



北「かっ、帰る」

藤「なんで?」

北「んだってここゲイバーだろ」

ニ「あら失礼」

千「おネエBARよ」

北「似たようなもんさ」

ニ千「全く違うわ」

北「声、揃えるんじゃね」

藤「ぷっぷっぷっ」

北「笑うな」

藤「あははっ」



腹が立つ、こいつ。



藤「まぁ落ち着けって1杯飲め ニコッ」

北「ちっ」



が、ふと思う。



藤「これ美味いんだぜ」



もしかして、また…



藤「心配しなくても、なにもしないよ」

北「俺は別に」

藤「それより元気になって良かった」



ドキッ!



北「なっ」

藤「ここ気が休まるだろ」

北「どこが?」

藤「自分を飾らないでいられる、フッ」

北「‥‥っ」



数分後、酔いが回った俺は



千「お酒、弱いわね」

ニ「でも可愛い寝顔」



再びこいつと夜を共にしてしまう事となる。

1つ屋根の下で―





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