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(旧)短編☆中編小説集

第16章 心と身体の行方

・北山side

その日―

俺たちは映画を見て食事をしてから別れた。

あっ、また名前聞いてないや。

まっ、いっか。

どうせもう会うこともないんだしさ。

数日後―



「対抗試合?バスケの」

「あぁ、相手チームに強い奴がいるんだってよ」

「サッカーなら北山がいるから安心なんだけどな」



へぇーちょっくら応援にでも行ってやるか。

グランドへ出ると…



「わあぁー見てみて」

「あの人カッコいい」



おいおい敵チームだろ。

女子の物凄い歓声が聞こえ目を向ければ。

ダダダダッ、シュッ!



「きゃああっ、素敵」

「惚れぼれしちゃう」



あれは!?

視界に飛び込んで来たその姿に俺は、声も出ないほど驚いてしまう。

シュポ!

あいつ、バスケなんかしていたのか。

うわっ、かっちょえー

しなやかな手足・飛び散る汗、シュートする姿は。

男の俺でも見とれてしまいそうで。

ちょ、待てダメだってば。

つうかマズイ、こんな所で顔を合わせたら。

しょっちゅう会いに来そうだし。

ピピーッ!



「試合終了○○大学の勝ち」



わっ、負けちまってるじゃん。

とにかく見つからないうちに…



藤「どこへ行くんだ?せっかく来たのに顔も見せず」



ギクッ!

振り返ると、怪しい笑みを浮かべ立っているこいつがいた。



北「うおっ!?なっ、なんでいるんで?おまえ」

藤「白々しい小芝居はやめにしろ、フッ」



バレてる…



藤「もう帰りか?」

北「いや、これから」

藤「ちょうどいい、一緒に帰らない?ニコッ」



グイッ!



北「ちょ、人の話しは最後まで」

藤「今度はお前んちへ行きたいと思っていたからさ」

北「おい聞いてんの」

藤「確かこっちでいいんだったよな?」

北「へっ?」



どうして知ってるんだよ。

―が、こいつはスタスタと歩いて行き。



藤「ほらカギ」

北「ちっ、分かったってば開けりゃいいんだろ開ければさ」

藤「クスッ」



ガチャ!

あげく中へと入ったとたん



藤「汗を掻いてしまったからシャワー借りるな」

北「えっ」



バタン!

えぇー嘘だろ?ここは自分んち襲われたら逃げ場はない。

ドキドキドキ―

心臓が疾風の如く高鳴り、脳裏に浮かぶ抱かれた日のこと。





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