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(旧)短編☆中編小説集

第18章 ペット白書

北「食いもんくれ食いもん美味いもん食いてぇー」



よつんばで、あっちへウロウロこっちへウロウロ這っては進み。



藤「おっ、おい」

北「北山」

藤「えっ?」

北「そう、呼べばいいわ」

藤「はあっ?」

北「みっくんでもいいぜ」

藤「へっ?」

北「ニコッ」

藤「ドキッ」



かっ、可愛いー

茶髪に、白いシマシマ模様の耳。

ふっくらした頬、クリっとした瞳。



北「藤ヶ谷メシだってば」

藤「はいはい」



尻尾をパタンパタンと振って床に座り込み両足をバタつかさせている。

おねだりポーズ?クスッ



藤「ほら食え」

北「んっ?」

藤「お前の為に作った特製ビーフシチューだぞ」



だが―



北「ちげぇ」

藤「なにが?」

北「こんなんじゃないの」

藤「はっ?」



こいつは、半端ないほどの我儘だった。



北「肉は焼き肉に決まってるだろ」

藤「牛は牛に違いないじゃん」

北「嫌だ焼き肉、焼き肉がいい」



バタバタバタ―

無理だって、給料日前だし金ないんだからさ。

そうだ、だったらこれならどう?

差し出した途端、北山の目がギラギラと食らいつく。



北「うおっ、納豆」



すぐさまパクつき顔中ネバネバ状態、がそれでも。



北「うっめぇー、ニコッ」



ドキン!

くっそ、なんて嬉しそうな表情で食ってるんだよ。

抱きしめたくなるじゃん。



北「次からはキムチも付けてな、ニコッ」



キュン―

これが俺と北山との出会いだった。

イチコロで自分のハートを貫かれた…

その無邪気な笑顔にやられ





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