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(旧)短編☆中編小説集

第19章 魅入られて愛

藤「悪魔ってさ、お前らの中ではすっげぇー嫌われている存在なんだよな」



んなにいきなり?

次の日、外へと出たらボソッと藤ヶ谷が呟く。



藤「でも、俺らがいないと人間は今よりもっと最悪なことになっちまうんだぜ」



なわけないだろ。



藤「たとえばほら、あいつ公園にいる子供を隙をみて拐おうとしている」



ばっ、バカな…



藤「北山にはもう聞こえるはずさ、耳を澄ませ聞いてみろよ」

北「‥‥っ」



すると―

“へへへっ可愛いねぇあの仔、鳴かせてみたい”

なんだよこれ。



藤「ロリコン趣味の犯罪者によくあるパターンさ」

北「なっ!?」



バサッ、バサッ!

そこへ羽音が聞こえたかと思ったら。

カラス?いや違う。



塚「その悪の心、頂いてくよ」



悪魔か!

“あっれ?俺、こんな所でなにやってたんだろ”



藤「塚ちゃん、こっちこっち」



バサッ、バサッ!



塚「藤ヶ谷、そっか嫁捜しに来ていたんだっけ」

藤「こいつ、北山宏光っていうんだ」

塚「へぇ俺は塚田僚一よろしく、ニコッ」

北「ぁ…あぁ‥」

藤「健永は元気?順調」

塚「もぉ大変でさぁ、俺と横尾でてんやわんや」



なんの話し、しているんだわ?



塚「二階堂が心配して毎日べったり、あいつから離れなくて」

藤「そりゃ仕方ないじゃん仲良し2人組をお前ら嫁にしてしまったんだし」

塚「まぁ、そっちはどう」

藤「んっ、なにが」

塚「河合もこっちへ来てるんでしょ」

藤「俺たちは別行動一緒に動いたら振り回されちまうわたと違って」

塚「確かに、クスクスッ」



さっぱり会話についてけないや。



塚「じゃ俺もう一仕事してくるね頑張れ藤ヶ谷」

藤「おう」



そう言うと去って行くカラス、じゃなく塚ちゃん。



藤「分かった、これで」

北「なにが?」

藤「人間は、欲に取り憑かれやすいから少しでも増幅しないようあぁやって俺達が吸い取ってるってわけ」

北「だが一向に犯罪はなくならないじゃん」

藤「足りないんだよ悪魔の数が」

北「‥‥っ」

藤「俺らだって、そう何人もの欲を多量に吸い取れるわけじゃないし」



それからも似たような光景を何度も俺は藤ヶ谷に見せられ。

そして―





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