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(旧)短編☆中編小説集

第19章 魅入られて愛

藤「うまそ北山あれなんて食べもん」

北「クレープ」

藤「食いて」

北「食えば」

藤「金ないもん」

北「はっ?」

藤「あるわけないじゃん、悪魔だぜ」



偉そうに言うんじゃねぇよ



北「それって」

藤「買ってなぁ」

北「うっ」

藤「買って買って、食いたい」



だだっ子になる藤ヶ谷。



北「だぁー静かにしろハズい」

藤「食わせてくれよ」

北「分かったから、そこて待ってろったく」

藤「やった」



こいついったい歳いくつ?

どう見ても、俺より年下に見える。



藤「うおっ、あんめ」



当たり前じゃん生クリームばりばりに入ってるのにしたかんな。



藤「よし次へ行こう」



グイッ!



北「うわっち引っ張んじゃねぇ藤ヶ谷」

藤「この通りは」

北「竹下通り」

藤「あれはなに」

北「なんかのテレビの撮影してるんだろ」

藤「映って来る」

北「よせ」



グイッ!



藤「なんでだよぉ」

北「悪魔がカメラに映ってどうするんで」

藤「きっ、記念に」

北「お前なんかそういうの欲しいの」

藤「北山と、初デートした記念が欲しいだけ」



これってデートだったわけ



北「あのよ」

藤「俺達の世界には、こういったのないから」



だだっ子の次はイジケ虫。



藤「楽しみにしていたのに」

北「ついてくれば」

藤「んっ?」

北「いいから早く」

藤「あぁ」



向かった場所―



藤「すっげぇー」

北「ただのプリクラさ」

藤「どうやんの」

北「こうやって金を入れ、んでこうだろ」

藤「うんうん、ニコニコッ」

北「クスッ」



無邪気な顔をし笑ってる、言わなきゃ悪魔になんか見えないのによ。



北「撮るぞ」

藤「OK、ムギュー」

北「んばか、くっつき過ぎもちと離っ…」

藤「大好きだぜ北山」

北「なっ、ドキン」



チュッ!



北「んっ、藤‥ヶ谷」



パシャ―
  パシャ、パシャ!



北「んだめだ、はふっ」

藤「チュクチュク」



パシャ!

気がつけば俺は、その首へ手を回してしがみつき。



北「んん…ぁ‥ふっ…あ」



応えるかのように自分から舌を絡めていた。

しっ…痺れちまう‥クッ

その誘惑に、白旗を上げてしまったかの如く。





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