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(旧)短編☆中編小説集

第20章 男と女の境界線

・北山side

ベットの上で素っ裸のままうつ伏せになり。

俺はボーッとしながら耳に入って来るシャワーの音を聞いていた。

あり得ない…

数日前に会ったばかりの男に処女を奪われてしまうだなんて。

この俺が、クッ!



「お待ち下さい、そちらの部屋へ行ってはなりませんお戻りを」



あれは、七つのときだったっけ。

母恋しさに奥の部屋へ行きそれを目にしたのは。



「はあっ、あぁーっ、よい気持ちいい、もっとぉー」



幼いながらも、受けた衝撃は計り知れず。

自分の親か化けもんに見え

それからも何度となく見るようになった男と女の醜態

あげく、どちらとも相手が違うんだ。

夫婦でするのならまだ分かる。

でもお互い公認の上で愛人をつくってやがってさ。

きったねぇ…

そんなにしたいのかセックスなんてもんを。

ジョキッ!



「きゃあぁーっ、なんて事を美しい金髪を短く切ってしまわれるだなんて!」



うっせぇわ。

自分は、今日から男として生きる。

あんな、野獣みたいな人間には絶対にならない

そう決心した12の年。

城では、めでたく跡継ぎが決まり内定していた婚約が成立してしまう。

それから―



「いい加減、女らしくしなさい来年の春には嫁に行くのですよ」



はっ?好き勝手に言ってろ

どうせ、子供を産まされたとたん放っておかれるのなら。

初めっから手を出されないほうがマシ。

あんたみたいにな…

向こうも、お人形さんみたいな女を期待しているんだろうけど。

そうはいかね。

せめてもの抵抗だったはずなのに、なんで!クッ

ガチャ!



藤「北山、お前もシャワーを浴びたらどう」

北「寄るな!キッ」

藤「ふっ、そんな眼で見るなよ」



手元に触れた自分の赤い血



藤「謝らないぜ俺は」

北「くっ」



ダッ!

そのまま藤ヶ谷の顔も見ず浴室へと飛び込みシャワーの栓をひねる。

ジャアーッ!

男なんかに屈したりしない二度とこの身体に触れさせるものか。





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