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暗闇の向こう側

第1章 闇は深い

大野side

洗濯物を二人で無言でたたむ。
キスした理由なんて知ってるよ。目が合った時にキスするなんて、好きじゃないとしないじゃん。

仕事仲間だからとか、男とか女とか関係なくて相葉ちゃんだから許したんだけど。このまま、何もなかったことにすればいいのか、それでいいのかな。
俺はどうしたいんだろう…俺は相葉ちゃんが幸せで、楽しく仕事してくれればそれでいい。

こんなに優しい相葉ちゃんなんだから、少しぐらい自分のことを優先してくれればいいと思う。
相葉ちゃんに決めてもらおう、でも相葉ちゃんが俺を好きだと言われたら、どうする??
一人で考えても答えなんて出ないや…

どうやらカバンに荷物を詰め終わったみたい。

相「本当にありがとう、帰るね」

智「うん…、わかった」
荷物を持って玄関で靴を履いている。聞かないとこれで終わっちゃう。お互いに腹を割って話してないから無言になるし、この先、ずっとこのよそよそしい感じのまま?

相「また明日だね。一日過ぎるのは本当に早いね。じゃあ」
玄関を開けようとしたから、思わず腕を掴んでしまった。

相「何??」

智「あっ、ごめん…」

お互いに言いたいことはわかってる。でも切り出せない。今後どうなるのかが不安だから。

相「何か忘れてる??」
相葉ちゃんが忘れたいならこのままでいいのか…。俺が切り出したらもう終わる??いや、話し合えばなんとかなるかも、いままでそうやって乗り越えてきたし…

智「忘れものじゃないけど、このままでいいのかな…」

相葉ちゃんの顔が一気に困った表情になった。でもこのままじゃ、どっちもモヤモヤしたままで一生過ごすことになるから…

相「俺が…あんなことしたからだよね。ごめん」

智「いいんだよ、俺のことを考えてくれて、なかったことにしようとしてんでしょ?」

相「うん…」

智「何でキスを拒否しなかったと思う?あの時、あれをするのが自然の流れだと思ったからだよ」

相「えっ…」

智「うまく説明できないけど、本当に大切な人だから、男だから女だからということじゃなくて相葉ちゃんだからしたんだけど…」
俺って本当に説明が下手だな、余計に困らせてる。相葉ちゃんが大切だっていいただけなのに…。

相「大ちゃんは本当に優しいね、ありがとう」
ニコッと笑って俺の手を離してきた。

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