ふたり、溺愛中
第2章 初めての、夫婦生活
「大丈夫かい?
フラフラじゃないか」
「あ、うん。
ちょっと湯あたりしちゃっ て…っ」
すっかり長湯してしまって、ゆでダコになってあがった私に、小鳥遊さんが心配して駆け寄った。
「ぁっ」
「優!」
クラリ
目眩と共に倒れかけた身体を、小鳥遊さんが抱き留めてくれた。
小鳥遊さんの胸元にほっぺたをのせると、トクトク心音が耳に聞こえてきた。
(ふゎ…このまま寝ちゃいたい。
って、何言ってんの私はぁ)
「ベッドで休んだ方がいい。
冷たい水を持ってくるよ」
「わゎ、大丈夫で……ひゃあ」
急に身体が浮いたかと思うと、私は小鳥遊さんに抱き抱えられていた。
お お姫さま抱っこって奴だぁ!
もはや安物のパジャマで後悔するとか言ってる話じゃなくなっちゃったよぉ。
まさか新婚初日からお風呂でのぼせて迷惑かけちゃうだなんて、笑い話みたいじゃない!
「はい、水だよ。
ゆっくり休んで。いろいろ歩いたから、疲れたんだね」
「…ごめんなさい」
「謝ることじゃないよ」
ベッドで飲み干したグラスを受け取った小鳥遊さんは、優しい笑みを返してくれた。
「いい時間になったし、おやすみ。
明日は指輪を見に行くんだから、ちゃんと寝ないとダメだよ」
そう言って、小鳥遊さんはベッドルームから出ていってしまった。
(私…なんてバカなんだろう)