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ふたり、溺愛中

第9章 紫のスーツの彼は

「ええと、小鳥遊…優、様…
あ、オーナーから伺っております!」



「あ…!」



保険証を出して紙にサインをすると、受付の男性スタッフさんがそう切り出した。



オーナーって、悠さんの事だ。
うん、ちゃんと話してくれていたみたいだね。





「どうも失礼しました。すぐにお席にご案内します。
ぼくは、煌(キラ)と言います。
今日は楽しんでいって下さいね、姫様」



「姫…あ、はいっ」




何だかよくわからないけど、煌と名乗ったスタッフさんはペコリと頭を下げ、丁寧に私をお店の奥へと案内してくれた。



…うーん、見た目は私と同じくらいだけど、彼の場合は童顔なわけじゃなくて、普通にハタチくらいなんだろうな。


でも顔も整っていて、バーの受付スタッフにはあんな人がいいのかもしれないね。









「お待たせしました。
姫様、どうぞこちらへ」




「あ、はい」




ちょっぴり照明も薄暗く、黒や紫色を基調とした妖しい雰囲気の店内を少し歩くと、私は大きなソファの席へ着いた。


ガラスのテーブルに、上を見上げればシャンデリアがある。



スゴい。
バーとは言え、スゴく本格的…!







「では姫様、まずはこちらのメニュー表からどうぞ」






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