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ふたり、溺愛中

第9章 紫のスーツの彼は

オシャレなグラスにきれいなオレンジ色が注がれた飲み物が、私のテーブルに置かれたの。


もちろん私は注文もしていないし、誰がそんな事を__…と思ってそのグラスの先を見上げて、ドキンっとした。







「あの、これ……」




オレンジがかった茶髪はオシャレにちょっぴり伸ばしてて、黒いシャツを覆っているのは妖しい紫色のスーツジャケット。



でもその甘いマスクは、間違いなく私が心から惹かれたその人だったの。





「悠さ…っ」

「ヴァージンスクリューは、アルコールの抜いたスクリュードライバーだよ。
これで心置きなく、楽しんでね」





そう言ってフワッと柔らかい笑みを見せると、彼は私の前を通りすぎて行った。






(悠さん、来てくれたんだ………!)





ふたりでいる時とは、また違う雰囲気だった。

紫色のスーツなんて珍しいんだけど、でもそれがまた違う悠さんを魅せていてカッコイイ。




飲食店だなんて言ってたけど、まさかホストクラブの社長さんだったなんて。


ちょっとビックリしたけど、でも初めて見る悠さんに、また違うドキドキを感じる事ができたの。





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