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ふたり、溺愛中

第9章 紫のスーツの彼は

『姫様ありがとうございます!
ルイのタワー入りましたー』




私には何が何だかわからないけれど、どうやらまた高級なお酒の注文があったようで、店内はホストさんたちによるマイクパフォーマンスやダンスといったサービスまでもが始まった。


タワーって何の事かなと思っていたら、錐の形に積み上げられたグラスが、お店の奥から運ばれてきた。


そしてお酒のボトルを持ってきた悠さんが、その上からお酒をドンドン注いでいったのだ。





(すごい…。
あんな事するんだぁ)





何本ものボトルを費やし、そうしていくうちにすべてのグラスにお酒が注がれると、回りにいたホストさんたちはそのグラスをひとつずつ手に取った。


そして最後のお酒のボトルを持った悠さんは、(多分この注文をしたんだろう女性のお客さんに向かって)とびきりのパフォーマンスを見せたの。





「今夜は最高のもてなしをありがとう。
このshionで、良い夢を見てくれ」



そう言って回りのホストさんたちの歓声を受けながら、悠さんはボトルの口から直接お酒をイッキ飲みした。






ボトルを真上に向けながら、どんどんなくなっていくお酒。


そしてあっという間に飲み干すと、悠さんはグッと空のボトルを高く掲げ、そして更に大きな歓声を浴びた。





(悠さん………っ!)




なんにも知らなかった。

悠さんは、毎日こんなお仕事をしていたんだ。



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