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ふたり、溺愛中

第9章 紫のスーツの彼は

頭が真っ白になって、何も考えられなくなった。


耳も回りの音を受け付けないかのように、何も聞こえないの。





(やだ…やだ…っ
こんなの、ウソだよぉ!!)






これ以上ここにいるのは、もぉ無理だぁ…。



私はジリジリと後退りながら、ふたりから離れた。




それから逃げ出すように思いきり駅まで走り抜けると、私はそのまま自宅まで帰った。









「はぁ…… はぁ……… はぁ…っ」






鍵を開けて中に入ると、玄関のドアを閉めた。


すると途端に力が抜けたようで、私はへなへなと腰を抜かしたように尻餅を着いた。







「…………っ
…………っ」




夢と現実がわからないくらい、頭がぽわーっとしてる。


さっきあった事、あれは本当なの?




お仕事の最中だと思っていたのに、誰か知らない女の人と会って、抱き合ってた。





どうして?

悠さんは、私の旦那さまじゃないの?



あの人は、悠さんとどんな関係の人なの?







「悠さん……………っ」





ドキドキドキ…



胸の動悸が止まらない。

気持ち悪くて、不安感に押し潰されそうなの。







「夢なら…どうか早く覚めて……」







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