ふたり、溺愛中
第12章 その婚姻届は、間違いだよね?
__『もう、いつまで待たせるの?
私、もうそんなに若くないのよ』
__『何言ってるの。
君はいつまでたっても、綺麗で魅力的だ』
ドキン ドキン…
あの時のふたりの会話が、頭の中でよみがえった。
__『ねぇ、あたしの気持ち知ってるでしょ!
だったら早くあたしを……っ』
__『わかってるよ。ほら…』
ギュウゥゥッ
胸が締め付けるようで、苦しくなるの。
ホストさんのお仕事は、お客さんとデートする事…
だから誰か女性と一緒にいるのは、別に変な事じゃないの。
でも…………っ
「………………………っ!!」
パァッとヘッドライトの光と共に、一台の車が駐車場へと入ってきた。
光から逃げるように端に身を寄せると、私はそのまま静かに車の方を見ていたの。
…見た事のある車の感じ、エンジンの音。
モヤモヤの霧が、どんどん増してくる。
バタンとドアの閉まる音と共に車から降りたのは、前に見た時とおなじふたりのようにも見えたの。
「ゆぅさ……」
違っててほしいと思いつつも、信じてるって言いつつも。
私はジッと、目を凝らしてふたりの姿を見てたの。
だって、やっぱりそこにいるあの人は……………