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ふたり、溺愛中

第12章 その婚姻届は、間違いだよね?

「お待たせ。
さあ、この後はラストまでゆっくり楽しんでいってね」


「もぉっ
あたしはこのままずっと一緒にいたかったのに」



「ふふっ
君を酔わせたいんだよ」




車から降りたふたりが、そう言いながらこっちに向かって歩いてきた。


多分、お店の方に行くんだ。





「今夜はね、君の為に用意したカクテルがあるんだよ」


「へぇ? それであたしを酔わせたいの?
………あ、そうだ、ちょっと待って。
ねぇ紫苑、これ書いてきたのよ」




この大通りと駐車場を繋ぐ道は、細く一本しかない。

この後の会話も気になったんだけど、ここじゃあ隠れる場所もないみたい。


どうしよう。
早く逃げないと見つかっちゃう!!






「あたしのサインは済んでるわ。
後は、紫苑の所よ」



「…………………っ」





…と思ってたんだけど。

カサカサと何か紙をひろげながら足を止めた女性のおかげで、隣にいる悠さんとおぼしき男性もそこで立ち止まった。



よかった。
私の事は見つかってないみたい。



でも、あの紙は……………?




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