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ふたり、溺愛中

第13章 心の本音と、初めてのキスとキス

「………………………」


「………………………」




ふたりの沈黙が、すごく長く感じられた。


お互いの顔を見つめたまま、相手が何か言うのを待ってるみたいなの。




「…………………っ」





悠さんは、何て言ってくるのかな。

これを機に、別れよう?


そんなの……やだよぉっ!!








「まいったな、持って帰っちゃったみたいだよ」


「悠さん……っ」



そう言った悠さんは、そっと私の手から婚姻届を取った。



さっきまで懐に入れてたから、しわになってたみたいで、それを悠さんは両手でしわを伸ばしながら丁寧に畳み直したの。





「悠さん、その婚姻届は……?」



やだ!
聞きたくないの!

だって、どう考えても私とは別れようとしてるハズだもん!





「あはは。
これはね、うちの店のお客さんのものなんだよ」




知ってるよ。
お店の中でも、悠さんとは親密そうに見えたもん。


多分、初めはお客さんだったんだろうけど、やがて心が移って………






「彼女、結婚したい人がいるのに、相手はサインしてくれないんだって愚痴りながら見せてくれたよ」



「…………………………っ」




「その時に、話に夢中で間違って持って帰っちゃったみたいだ。
早く返してあげなきゃ、彼女も困るよね」




嘘だ…。
悠さんは私に隠そうとしてる!




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