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ふたり、溺愛中

第13章 心の本音と、初めてのキスとキス

"この彼女のように"

そう言って、折り畳んだ婚姻届を指した悠さん。


帰れないまま夢を見続けてるって、あの女の人が?





「時々お客さんの中でもいるんだよ。本気になってしまう人がね。
もちろん、そうさせてるのは僕達の方なんだけど」



本気にってのは、恋愛に発展しちゃうって意味だよね。



確かに、営業時間外にはお客さんとランチをしたりして、デートだってするんだもんね。

悠さんみたいな人に優しくエスコートされてデートなんかしちゃったら、誰でもドキドキ恋しちゃうのは頷けるなぁ。





「彼女には、もう何度も婚姻届を突き付けられ、危うく結婚させられそうになったよ」



そう言えば、あの女の人も悠さんに婚姻届をすぐなくすって言ってたなぁ。

悠さんも毎回上手い具合に、逃げてたんだ。





「これまで何年もずっと売り上げに貢献してくれたし、僕がいま経営者となっていけたのも、間違いなく彼女のおかげだからね。
みだりに断るわけにもいかないんだ。
それに……」




…そうやって聞いていると、あの女の人もかわいそうな気がしてきたなぁ。

その気にさせるだけさせといて、でも実際は叶わないんだもんね。





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