ふたり、溺愛中
第14章 紫の憂鬱
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「お疲れ様です!」
「お疲れ様です、紫苑さん」
「あぁ、お疲れ」
その夜、いつものように店に赴くと、スタッフ用の化粧室で身なりを整えた。
髪を軽く盛り、簡単にメイクも入れ、何度も鏡の前でチェックをする。
それが終わると、クローゼットから紫のスーツを取り出し、袖を通した。
___これで、"紫苑"の完成だ。
さぁ今夜も、このshionを盛り上げて行こうじゃないか。
化粧室を出ると、その足で店内へと向かう。
そこに行くともう、小鳥遊悠はどこにもいない。
「キャー、紫苑!
こっちこっち!!」
「やぁ、お待たせ。
今夜は、何をごちそうしてくれるのかな?」
ほら、女性はみんな僕に夢中になる。
いるのは、このホストクラブshionのオーナー兼、カリスマナンバーワンホスト、紫苑だけなんだ。