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ふたり、溺愛中

第5章 ひとりぼっちで×××

午後を過ぎ、国内旅行ガイドを買って部屋に戻ると、ゆっくり悠さんと行き先を決めようとページをめくって見た。



あーん、どうしよう。どこに行こうかなぁ。





「決まれば、もう明日か明後日には出発する予定だよ。
ただ、大それたところには行けないかもしれないから、ごめんね」



「そんな事!
謝らないで。私、悠さんと旅行に行けるだけで嬉しいんだからぁ」



「ありがとう。
でもそれは、僕も同じだよ」



「うん」





と、そんな事を言いながらふたりで一緒にガイドを見ていたのだけど。





―――――ピルル ピルル ピルル




ふと、どこか近くで電子音のようなものが、私の耳に届いたのだ。



あれ?
まるで、ケータイ電話のような音が…


と思った通り、それは悠さんのケータイ電話から聞こえてきたもので、悠さんはおもむろに立ち上がると、部屋から出ていきながら電話に出たようだった。








「………………………ま、いっかぁ」




私は悠さんが戻ってくるまで、ひとりでページをめくっては、既に机上旅行してる気分になっていた。



だって、どこに行っても悠さんとなら楽しそうなんだもんね。








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