テキストサイズ

ふたり、溺愛中

第5章 ひとりぼっちで×××

「ごめん、優」



電話を終えた悠さんが、部屋に戻ってきた。




「うん、大丈夫だよ。
実はまだ決めてなくてね」



そう言ってガイド誌に目を戻したのだけど、いつまでたっても私の側に来ない悠さんに、私は不思議に思って目で探した。


すると悠さんはどういうわけか、スーツに袖を通しながら身なりを整えている。




え?
もしかして、今から行き先を決めないまま出発するとか?

てゆーか、スーツで?







「悠さん」


「優、ごめんね。
ちょっと出てくるから、旅行先は優の方で決めててもらえるかな」



「…どこか出かけるの?」




どうしたんだろう。
用事があるなんて聞いてなかったんだけど、何かあったのかなぁ。






「ちょっと、仕事の関係でね。
なるべく早く帰るようにするから、ひとりで留守番しててくれる?」




仕事!

そっかぁ。
悠さんは、社長さんをしてるんだもんね。
いくら特別休暇ったって、社長さんなら休暇中でも行かなきゃって用事があったりするよね。





「私は大丈夫だよ」



「ありがとう。
ごめんね、急にこんな事になって」




「気にしないで。
お仕事だもん、仕方ないよ」







ストーリーメニュー

TOPTOPへ