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私と彼の関係

第2章 はじまり


何分経ったのだろう…

もう十分に堪能したと藤崎が思ったのだろう。

髪の毛から手が離れたのをきっかけに、どちらがともなくゆっくりと離れていった。

「…ねぇ、あんたって経験あるの?」

少しまだ潤んだ目で俺を見ながら藤崎は言った。

「なんで教えないといけねぇの?」

俺の返答にムッとするかと思ったが、実際は違った。

「へぇあるんだ。なんか俺そういうの興味ないんでっていう雰囲気出しながら、ちゃっかりやってんじゃん」

俺は何も答えてねぇのに経験ありと見透かされた。

まぁ確かに経験はある。

「……」

俺は何も答えなかった。

これで反応したら向こうに確信を持たせてしまう気がして。

でも、そんな俺にはお構い無しに藤崎は話しを続ける。

「まぁでも確かに顔はイケメンだもんね。なんていうか塩顔イケメン?だっけ?そんなやつ」

イケメンなのか?そんなこと考えもしなかったし興味もさらさらない。

「ねぇ、今から私の家に来ない?っていうか来て?」

ん?今なんつった?

家に行く?

「なんのために?」

無表情で俺は聞く。

「sex」

…………は?

「嫌」

俺は即答した。

「まぁあなたに拒否権ないから。さっ早く行こ」

そう言って俺の原付の後ろに股がって乗ってきた。

「は?」

「もし行かないなら、学校で深見くんから無理やりディープキスされたって言いふらすよ?」ニコッ

俺の嫌いな貼り付け笑顔で言った。

「じゃあ俺もお前から無理やりお前からキスされたって言うぞ」

「クスッ…そんなの私とあなたの話、どっちがみんな信じると思う?」

勝ち誇ったような目で言いながら俺を見た。


こいつ……


…………最悪だ。






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