君とずっと
第5章 気持ち
「雛ちゃん優しいからね〜、西崎くんに気遣ったとか?」
「…………」
「そんなに気に病むことはないよ、僕が雛ちゃんを落としてあげるから」
オレの中の何かのスイッチが入った
「あいつは……天海は絶対オレがもらう!!」
オレはベンチから立ち上がり、沢村に迫り寄った
「ふふっ、本気みたいだね」
「当たり前だ!」
「まぁ、最終的には雛ちゃんが決めることなんだけどね〜」
「うっせー」
あっ、と沢村は何かを思い出したかと思うと、オレの前に人差し指を突き出した
「1つだけ言っておくね」
「な、何だよ」
「近いうちに僕、雛ちゃんをデートに誘うつもりだから」
そう言って沢村はテニスコートに向かって歩き出した
「か、勝手にしろ!」
沢村はオレに右手をあげるだけで、振り向くことはなかった