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薔薇寮の淫

第10章 震える古傷―

・北山side

河「けど、いつまで経ってもそいつは来なくて心配になった2人が部屋へ戻ってみると中で、クッ」



嘘っ…だろ!



戸「手をつけたのは当時、一番力があった3年のリーダーだったんだって」



18の奴が、14になったばかりのガキを襲ったっていうのか。



河「五関は、自分がここへ連れて来てしまったせいだと狂ったように泣き叫び、飯田に謝りまくったんだが飯田は責めようともせず」

北「かえって辛かっただろそれじゃ」

藤「けど飯田は飯田で自分を責めていたんだろうな」

河「その通りだ太輔、あの2人は互いに相手じゃなく自分を責め続けた」

北「で、どうなったんで」

河「くっ」



俺がそう聞くと郁人の表情は益々苦痛に歪み始める。

その結末は、言葉に出ないほど悲劇的なものだったんだ。

2人の心に大きな深い傷をつけてしまったほどの…

襲われてしまった飯田の弟はその後。

強制的にそのリーダーの所へ連れて行かれてしまい。

まだ刃向かう力がなかった五関と飯田は護りきることが出来ず。

たが五関は何度も、何回も部屋に行っては返してくれるよう頼んだらしい。

聞き入れてくれるわけないのにな、クッ!

そして、毎日のように陵辱されるそいつの声が部屋からは漏れ続け。



北「くっ、ひでぇ話しだ」

河「まだ14歳、現実逃避をしてしまったんだろう、自分を抱く奴を愛する五関と思い込むことで、クッ」



当然の如く、2人の耳にもその叫び声は届く。



「晃一、兄ちゃ、くっあ、晃一兄ちゃあーん」



それに連動するかのように五関と飯田の傷口も広がってしまったに違いない。





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