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薔薇寮の淫

第10章 震える古傷―

・北山side

北「んなんでそう思うんで?」

横「太輔はタチとしてお前を抱いた、それはそれで良かったんだろうけど」

北「なんでぇ?」

横「自分の身に受けてしまった奴のものは、未だ消える事なく残っているのかもしれないな、だとしたら」

北「そうしてやれと?」

横「そうすれば、あいつは満たされ過去に苦しむ事はなくなる、俺はそんな気がするんだ。そして、それができるのはミツお前しかいない ニコッ」



そのあまりにも唐突な方法に俺は言葉を失ってしまう

と、横尾さんは…



横「そんなこと出来るわけがないって顔しているが、試してみる方法があるだけマシなんだぞ」



そう言ってよ。



横「それすらなかったら、ただ見ていることしかできないんだ。それって結構、辛いもんさ フッ」

北「‥‥っ」

横「死んでしまった者は、二度とは戻って来ないその代わりになんて誰もなる事は出来ないんだよ、クッ」



横尾さんそれがお前が抱えている苦しみ辛さか。

愛する者の悲しみをどうしてやることも出来なかった

無力な思いが、お前を孤独へと追いやり。

だから…

自分が飯田のために出来る事はこれしかないと。

そう思って五関と今日まで頑張って来た。

そうだろ?

俺はやっと、こいつの真の思いが分かった気がする。



北「なら、やってみるわ」

横「ミツ」

北「お前に負けてられないからよ ニコッ」

横「んっ?」

北「そんじゃ、帰るな」

横「あぁ、フッ」

北「横尾さん」

横「なに?」

北「お前は独りじゃない、俺らがいる ニコッ」

横「どうした?いきなり」

北「別に、ただ俺達の絆は家族以上だと言いたかっただけさ、たとえ離れてしまっても消えることがないほどの」

横「何が言いたい?」

北「そのうちに分かるときが来る、ほんじゃあな」

横「‥‥‥」



そして自分の部屋へ戻るとそこには。



戸「どうだった?ニコッ」



まるで俺の行動を見通していたかのようにトッツーがドアの前で待っていたんだ





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