テキストサイズ

薔薇寮の淫

第11章 希望という名の下で

・藤ヶ谷side

藤「…なっ‥頼む…くっ‥他はなんでも…聞いてやるから‥それだけは…ハァハァ」



すると、ひろは。



北「逃げんのか太輔」

藤「‥‥っ」



そう言ってさ。



北「このままずっと過去を引きずって生きてく気か」

藤「おっ、おまえ」

北「俺が、綺麗にしてやるから ニコッ」

藤「えっ?」

北「おまえの身体すべて、なっ?んだから信じて任せろ フッ」

藤「ひ…ろ‥」

北「愛してる太輔、ニコッ」

藤「‥‥っ」



とたん流れる涙の滴。

それを指でソッと拭うと、ひろは。

チュプ!



藤「んんっ…っ‥ん…ぁ」



まるで包む込むかのようなディープキスをして来る。



藤「…っ、ハァハァハァ」

北「大丈夫だ、お前はなんも心配しないで俺に身を任せていればいい ニコッ」

藤「けど…な‥」

北「不安か?」

藤「そりゃ…まぁ」

北「俺のこと好きなんじゃないの?」

藤「もちろん好きだって」

北「愛してる?ニコッ」

藤「愛してるに決まってるだろ」

北「俺も ニコッ」

藤「おまっ」

北「だったら、なんも心配はいらない違うか?ニコッ」

藤「‥‥っ」

北「俺達は愛し合ってるんだからよ、するのは当たり前だ ニコッ」

藤「ふっ、まさかそう来るとは思わなかったぜ」

北「お前が俺を抱きたいと思うように俺も太輔を抱きたい、ダメか?んなふうに思っちゃ」

藤「そんな事はないけど」

北「なら、いいんだな?」

藤「お前なら ニコッ」

北「ふっ」



正直、驚いた。

ひろがこんな行動を起こすだなんて。

けどその反面、嬉しく思っている自分がいたんだ。

初めて、その口から聞いた“愛している”という言葉が。

俺の頭の中で心地いいくらい響き渡っているのを感じながら。



北「ベットのほうへ行こうか ニコッ」



俺は、そんなひろの優しい眼差しを受けながら素直にそれに従う。

こいつなら構わない、いや俺もひろに抱かれたい。

いつの間にか、そう気持ちが切り替わっていた。

心臓の鼓動を聞きながら、初めてのときを迎えるかのように。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ