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薔薇寮の淫

第11章 希望という名の下で

・横尾side

ダダッ!



ニ千「わったぁーっ」

宮「横尾さん」

玉「わた」



おまえら…



藤「行くのか?」

横「太輔、フッ」

藤「俺、俺な…」

横「こんな場所でじゃなく出会っていたらいい友達になれたのかもしれないな」

北「ここでも、お前は俺らのダチだわ」

横「ミツ」

河「その通りさ」

戸「たとえ何処にいても」

塚「横尾の事は忘れない」

五「当たり前だろ」

横「五関」



ありがと、みんな。



藤「行き先は?」

ニ「あてはあんの」

千「俺たち遊びに行くし」

玉「教えてくれるんだよね」

宮「横尾さん?」

横「ふっ」



その翌朝―



横「お世話になりました」

小山「何もこんな急にみんなにお別れの挨拶しなくていいの」

横「昨日会ったし、湿っぽいのは苦手なんだ」

小山「‥‥‥」

横「じゃ ニコッ」



キィーッ、バタン!

あれ以来、外出することもなく寮内に籠っていた俺にとって。

久々の外の空気だった。



横「さぁまずは今夜の寝床を決めとかないとな」



ガラガラと荷物を引きながら考える。

それから住み込みで…



横「仕事、見つかるまではなんとか金も持つだろう」



そう思い何気にポケットへ手を突っ込んだ。



横「んっ?」



瞬間、掴んだ小さな小箱。



五「今は、まだ開けるなって北山が」



これは―



五「横尾へのプレゼントだってよ、ここを出たときに中を見て欲しいらしい」



ミツ…ふっ



横「いったい何をくれたんだ俺の2番目に好きなやつは?クスッ」



赤いリボンをシュルシュルっとほどき蓋を開けてみると。

カギ?あと器用にくるくると巻いたメモ用紙があり。



横「なんだ、これ?」



その紙を開き、書いてある字を読んだとたん。



横「くっ、あいつら」



俺の目から抑えきれず涙が溢れ出る。



横尾さんへ―

俺らから最高のダチであるお前に、愛が篭ったプレゼントだ。受け取らなければバチが当たるんだからな、分かったか。


2番目にお前が好きな北山宏光より―



バカっ…クッ!



横「…ヒクッ‥ばかやろ…」



勇気を出して前へ一歩踏み出してみろ。

今度はそう自分が言われている気がした。

降り注ぐ太陽の陽射しの中で―





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