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薔薇寮の淫

第1章 それぞれの事情

・藤ヶ谷side

俺がここへ来たのは今から1年くらい前の話し。

父親は政治家だから、いつかは立候補することになるだろう。

そう当たり前のように思っていた…

あの頃の自分は、もうここにはいない。

どんな所なのか?

何も知らずに来たその日のうち。

すぐさま制裁を受けてしまったから。



藤「やっ、やめろぉーっ、うっ、わああぁ」



同室のやつに襲われ。



藤「いっ、痛てぇ、痛てぇよぉ」



ギシッ、ギシッ!

ショックだった今どきこんな所があるのかって。



「いいかよく聞け今日からおまえは俺のペットだ逃げようと思っても無駄だぜ」



そいつは1匹狼だったが、その威圧感から誰も近寄っては来なくてさ。



「ほらもっと腰を振れ色っぽい声だせって」



俺は部屋の中に閉じ込められまるで奴隷みたいな生活を強いられてしまい。



藤「あっ、嫌だっ、ううっもっ、くうーっ」



それからは、地獄のような毎日が続いたっけ。

が、3ヶ月が過ぎたある日

誰かに呼ばれたらしく奴は部屋を出て行き。

そのままいつまで経っても戻っては来なくてさ。

逃げ出すなら今のうち。

けど、何処へ行けばいい?この寮から抜け出せるわけじゃないし。

そう思っていたら、ガチャ



藤「ビクッ」

横「大丈夫か」

藤「…誰」

横「俺は横尾渉、辛かっただろ?すぐ助けられなくてごめんな」

藤「…うっ‥ううう…うっわあぁーっ」



ギュッ!

温かかったなぁわたの胸の中、救世主に見えた。



横「もう、心配はいらない俺が護ってやるから」

藤「ヒクッ」

横「あいつはもうここには戻って来れないし」

藤「…どう‥して」

横「外で傷害事件を起こしたんだ」

藤「えっ」

横「もちろん退学、今頃は警察の檻の中ってわけチクったのは俺だけど」



後で知った事。

わたは俺が転入して来た時からずっと心配してくれていたらしい。

同室があいつじゃ酷い目に遭ってるんじゃないかと。

が、どうやって連れ出したらいいか考えあぐねていたら。

偶然やつが外の連中とイザコザを起こしているところに遭遇し。



横「いつもなら、見て見ぬふりをするんだけど」



面倒なことに巻き込まれたくはないだろ。

そう苦笑いした顔を今でも時々思い出す。

なんだか寂しそうで…





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