恋して、Love.
第1章 プロローグ
「あ………」
驚きで目を見開く私に、今度はニッと綺麗な歯を見せた笑みが目に焼き付いた。
「ギリギリセーフ!俺居なかったら、今頃階段から落っこちてたからなー
まっ、怪我してなくてよかったわ。」
肩をポンポン叩かれて手が離れた。
「…あ、ありがとう…」
朝倉くんが居なかったら……と思うと怖くて俯いた。
「……」
朝倉くんは、私を見て一瞬、顔を暗くしたがまた同じ笑みを向けて言った。
「あ、これ図書室に持ってく奴だろ?
俺も今日、日直で今持って行った帰りなんだよー」
「そ、そうなんだ」
「君一人でこのまま行かすの心配だから、図書室まで一緒に行くよ」
「えっ…
い、いい!大丈夫だよ?
今のはちょっと踏み外しちゃっただけだし…」
これ以上、迷惑かけたくなくて首を振り否定したが、彼はただ笑って
「いーから、いーから」
そう言い、私の持ってる本を取った。