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はじめで終わる物語

第1章 惑星レオナカバオ

 村長は自分の携帯電話を差し出した。


「おかげで、わしのフォロワー数が8那由多までいってる」


「はちなゆたぁっ!? 10の60乗いっちゃったよ!! こんな田舎の惑星の村長が、村の恥から全宇宙の恥になっちゃったよ」


「だが、わしは村の民に選ばれたんだからな。後悔先に立たず」


「自分で言うのか、このクソジジイは」


 まともな話になる前は、必ずこのようなトークのやり取りが始まる。


 チャップの報告によれば、まだ人に被害が及んでいないものの、森の動物が魔物に襲われ、絶滅寸前に追いやられている種もあるという。


「チャップ、それは誰が調べた」


「はい、森のすぐそばの研究所にいる薬物課のオシオです。彼は他の生物に薬物を投与して、どのような影響を及ぼすのかを学んでいる最中に、大量に死んだ熊を見たそうです。死体から、この星にない成分が検出され、調べて見ると、過去に出現した魔物のデータと一致したそうです」


「そうか……お前もそれをオシオから学んだんだな」


「はい、オシオから学びました」



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