ねぇってば
第3章 必ず
「あの!」
俺は過ぎ去ろうとするしゅうかちゃんに話しかけた
ゲームをしている手を器用に動かし
きりがいいとこに行ったのか折りたたみ式のそれを畳んだ
「なんですか?」
背後からは松潤が先行ってますよーと
言ってすたすたと歩いていく音が聞こえた
「もうあの家には住んでないんですか?」
「あの家って?」
「マッチさんの…」
「あぁ、思い出しちゃうんで、もう行きません」
そうなのか…
お葬式で泣いてなかったから
あまり気にしてないのか
と思ってた自分を殴りたい
「今はどこに住んでるんですか?」
「教えなきゃダメですか?」
これじゃナンパじゃねーかよ。
こんな小さい子に…
「知りたかっただけです、その、気になった、だけです」